看取り介護をポジティブに受け止めるために気をつけたいこと

介護業務のなかでも看取り介護に不安を感じる介護職が多いのですが、死は決してネガティブなことばかりではありません。人生を全うされる最期の時期に立ち会うことで、貴重な学びを得られることも多いのです。
看取り介護を行った介護職の多くが、悲しみだけでなく「最期を看取ることができてよかった」とポジティブな感情を経験しています。良い経験や学びを得るために、次のポイントに特に注意しながら丁寧な介護を心掛けましょう。
本人の尊厳を守ることは、とても大切なことです。介護の基本理念として重要な事柄ですが、人生の終末期においては特に大切にしたいことです。介護を行う側の気持ちを押しつけるのではなく、本人が希望する終末期の過ごし方を尊重し、尊厳を保つことを第一に心掛けましょう。

次に、精神的・身体的な苦痛を和らげ、穏やかに終末期を過ごせるように環境を保つことも大切です。体にも苦痛が訪れますが、心にも絶望感や断絶感などさまざまな苦痛が訪れます。きめ細やかなコミュニケーションを通じて、心の傷みを和らげることが介護職の重要な職務です。
利用者はコミュニケーションが困難な場合もありますが、心を通い合わせることは可能です。こちらから話しかける、手を握る、体をさするなどの働きかけを続けることで、心の支えになれます。介護職が人生の最期に寄り添うことは、独りで旅立つのではないという安心感につながります。プロとしてのプライドをもってやり遂げることで、ポジティブな達成感が得られるでしょう。終末期の看取り介護の役割はプレッシャーもありますが、死に向かい合う尊い仕事です。