今までは病院での看取りがほとんどでしたが、介護施設で穏やかに最期の時を迎えたいと考えている人が増えています。以前は介護施設で看取り介護を行うところはあまりなかったものの、最近では施設の8割近くが看取り介護を行っているという結果もあります。介護施設で行われる、介護職による看取り介護とはどのような内容なのでしょうか。
看取り介護も通常の介護も、基本的な部分では大差はありません。介護職が行うのは身体面のケア、精神面のケア、そして家族へのサポートです。身体面のケアは食事や排泄、入浴など日常的なケアです。食事は終末期になると食べなくなる傾向がありますが、無理強いせず利用者の状態に合わせたケアが求められます。
精神面のケアは、不安や恐怖におびえることがあるので、こういった精神的な苦痛を和らげることも介護職の役目です。「気分はいかがですか」「何か気になることはありませんか」などこまめに声かけをして、利用者が孤独を感じないようにすることが大切です。
そして、家族へのサポート(グリーフケア)では、利用者本人だけでなくその家族も対象になります。家族も本人と同様に、不安や苦痛を感じていることが多いためです。それを取り除くケアをするために、日頃から家族ともまめにコミュニケーションを取り、信頼関係を築いていくことが重要です。
利用者が最期を迎えた時、家族は深い悲しみを抱えます。家族が死を受け入れ、立ち直るのをサポートするのがグリーフケアであり、介護職はグリーフケアのスキルも必要とされます。看取り介護が始まった時から、グリーフケアも始まっているのです。